夜のスーパーマーケットには、
まさに、雨後の筍のように人がいた。
久々に娑婆に出た。
と言っても、夜しか出られないのだから、
真っ暗なあの世と同じようなものではないかと思われるかもしれない。
けれど、太陽光を一切遮断した居室であるあの世には、
人がいないのだ。
良人を除いては。
時々、八重桜見たさにちょろっと出たりしたけれど、
逃げるように帰っていたので、半月ばかり人を見ていなかった。
夜のスーパーマーケットの売り場に、うようよいた人々。
そうは言っても、朝のラッシュアワーに一斉に電車に乗り込む人の数よりは、ずっと少ないはずなのに圧倒された。
20代の共働きであろう夫婦が買い物をしていた。
スーツ姿の夫は、ややイケメン。
その夫がいきなりパイナップルを取り上げて、
自分の頭に載せた。
そして、妻であろうスーツ姿の女に、その姿を撮影せよとばかりに、ポーズを決めている。
妻は身を屈めて、あっちからこっちからスマホで撮影していた。
久々の外出に保護者のようについていた良人が、それを見て
ブツブツと言う。
無口という病気の良人の声は極めて小さい。
売り物を頭の上にのせるのは、いけない行為と言っているらしかった。
良人の言葉は、はしゃぐ当人達の耳には勿論入ってはいない。
私は、パイナップル夫と地味なその妻と思われる2人の様子が動画を見ているようで、リアルに感じとれなかった。
私自身が写真など撮っているから、言えた義理でもないという思いもあったのかもしれない。
それ以上に、人々の生きているのだと言うような熱気を帯びた空気が懐かしいようであって、馴染めなかったのだ。
ひょっとすると、彼ら彼女らから私の姿は見えてないのではないかとさえ思った。
透明人間のように。
スーパーマーケットの出入り口付近で見たのは、
平成をあじわうハイチューだった。
平成生まれの4つの果物が味わえるらしい。
それは、湘南ゴールド、シャインマスカット、せとか、スカイベリーだそうだ。
そう言えばハイチュー自体は昭和生まれだったかな。
昭和、平成、令和も生き続けるお菓子も立派なものだ。
たのしみは 朝おきいでて 昨日まで無かりし花の 咲ける見る時 橘 曙覧 |
娑婆は鮮やかでござんした。
今日の東京の最高気温は25度、最低気温は18度、曇り時々雨の予報です。
雨の朝となるようですが、もう二つ寝て目覚めると、黄金週間の始まりです。
海外を始め、お仕事の方にはすみません。
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