その御会式が今夜だった。御会式とは、日蓮聖人が亡くなった10月13日を中心に数日間営まれる法要だそうだ。花で飾られた万灯と人の賑わいで、盛大だとは聞いたが、人出の多さは予想以上だった。先月から参拝を決めていたにも関わらず、交通機関の規制や帰りのルートも下調べすることなく、暗くなるのを待って、ただぶらっと出かけたのだった。
しかし、駅前バス停には、今日の御会式による交通規制でバスの運行変更(途中での折り返し運転)を乗客に説明するため、バス会社の社員が3人もいて、こらからの大混雑をその時やっと察したのだ。道路は混んでバスも動かず、車内はすし詰め状態だった。
本門寺からは1キロ近く遠いところで降ろされると、すでに花で飾られた万灯に纏(まとい)が舞い、太鼓や笛の音に飽きることなく参道に向かうことができたけれど、参道では人ごみで前に進む事ができない。折り返したくとも帰れない。身動きがとれないのだ。次第に汗だくになり、途中後悔もしたけれど、引き返せないのだから諦めるしかなかった。
そんな押し合いへし合いの中で、すぐ後ろのねーちゃんが、棒に刺さった大きな真っ赤な杏飴を手にして、なめている。べっとりとしたのを。 何かの拍子に、倒れ込んできたら、私はアウトだ。ねーちゃんから逃れたい。しかし満員電車のように、身動きがとれず、少し空いた隙間を見つけて進むと、ねーちゃんもくっついてくる。どこまでもどこまでも、赤い大きな杏飴と一緒に。
健康だった時に2、3回参拝したことがあったので、長い階段は承知していたけれど、脇にエレベーターが利用できる建物があると、介護タクシーの別の職員に聞いた事があった。しかし、そんなものがあるのか?あったとしてもどうにも動けない。
万灯も担いで階段を昇る |
ちなみにこの御会式の参拝者数は30万人とも言われているそうだ。
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