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2013年10月13日日曜日

御会式

池上本門寺の御会式は、夜に執り行われると、先月、美容院に向かう途中いつもの介護タクシーのドライバーから教えられた。私が夜しか外出できないのを十分わかっていてこその参拝の勧めだった。その時から無信心ながら参拝しようと決めていた。
その御会式が今夜だった。御会式とは、日蓮聖人が亡くなった10月13日を中心に数日間営まれる法要だそうだ。花で飾られた万灯と人の賑わいで、盛大だとは聞いたが、人出の多さは予想以上だった。先月から参拝を決めていたにも関わらず、交通機関の規制や帰りのルートも下調べすることなく、暗くなるのを待って、ただぶらっと出かけたのだった。

しかし、駅前バス停には、今日の御会式による交通規制でバスの運行変更(途中での折り返し運転)を乗客に説明するため、バス会社の社員が3人もいて、こらからの大混雑をその時やっと察したのだ。道路は混んでバスも動かず、車内はすし詰め状態だった。
本門寺からは1キロ近く遠いところで降ろされると、すでに花で飾られた万灯に纏(まとい)が舞い、太鼓や笛の音に飽きることなく参道に向かうことができたけれど、参道では人ごみで前に進む事ができない。折り返したくとも帰れない。身動きがとれないのだ。次第に汗だくになり、途中後悔もしたけれど、引き返せないのだから諦めるしかなかった。
そんな押し合いへし合いの中で、すぐ後ろのねーちゃんが、棒に刺さった大きな真っ赤な杏飴を手にして、なめている。べっとりとしたのを。 何かの拍子に、倒れ込んできたら、私はアウトだ。ねーちゃんから逃れたい。しかし満員電車のように、身動きがとれず、少し空いた隙間を見つけて進むと、ねーちゃんもくっついてくる。どこまでもどこまでも、赤い大きな杏飴と一緒に。

そんな門前までの40分は、実に長かった。そして、待ち受けていたのは、96段と長い石積みの階段だった。
健康だった時に2、3回参拝したことがあったので、長い階段は承知していたけれど、脇にエレベーターが利用できる建物があると、介護タクシーの別の職員に聞いた事があった。しかし、そんなものがあるのか?あったとしてもどうにも動けない。
長い階段前にも警官数十人が規制し、やっとのことで境内にたどりついた。
万灯も担いで階段を昇る
バスを降りてから境内まで何人の警官がいただろう?私が気がついただけでも100人はいただろう。
参拝後、本殿の裏に出ると、今度は消防車が3台待機していた。参道には、ところ狭しと屋台が並び、境内にも正面脇、本殿脇と多くの屋台があった。屋台数は全部で200、いや300を超えているだろうか。当然のように屋台脇にはプロパンガスなどが置いてある。
帰途は本門寺裏をひたすら降りて、どこをどう歩いているのやらわからず、大勢の人の後をついて行くと、その大勢は、国道で富士急バスに乗り込んでしまった。バスに乗り込まなかった、数人の後をついて行くと、今度はその数人はマクドナルドに吸い込まれるように入って行ってしまった。残された私はただ一人、主体的に歩まなければならなくなった。土地勘もない。御会式に賑わう提灯などもない夜道で、いつ帰宅できるかなと思いながら、歩き続けると、御会式で折り返し運転をしているバスを見つけて乗り込みようやく家路についた。仏閣の参拝は10年以上ぶりだろうと思う。歩くことができるようになってこその参拝だった。
 ちなみにこの御会式の参拝者数は30万人とも言われているそうだ。



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