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2013年10月10日木曜日

ドラキュラ的生活7

秋のドラキュラは忙しい。
秋とは言え、連日日中は、30度近い夏日の毎日だ。
 しかし、間違いなく日の入り 時刻は加速度がついたように早まって、まさに秋の日は釣瓶落としだ。
目覚めてから、街が漆黒に包まれるまで、あっという間で、出陣の支度にあたふたとしている。
晩春から、晩夏までは、舞台袖で、足を組んで一服しながら、
でも、まだかまだかと出番を待っていたドラキュラだった。
 そんなドラキュラにもようやく出番が回ってきた、この秋に、一年間のたまった用事を全てすませなければならないのだ。

美容院で髪を切ることから始まり、初夏には中断となってしまった歯医者に通い、壊れたものの修理、買い物、友人とのデート。
 
24時間営業のスーパー、ネットでの買い物と光に弱いドラキュラにも随分と便利な世の中だけれど、手に取ってみたいような、こだわりの品がある店は、夜の7時がクローズであることが多いし、修理修繕も同様だ。
そして、夜間8時以降に街に繰り出して遊んでくれる友もいない。子供がいたり、残業だったり、そして当たり前のように明日の朝は出勤だから。なぜなら、ドラキュラの友人はドラキュラではなく普通の人間なのだから。
なんでドラキュラになっちまったんだろうと、うじうじ考えている間もない秋のドラキュラ。
昨年は、その慌ただしさに、金木犀の甘い魅惑の香りにも気がつかなかった。今、一時だけの金木犀に今年は気づくことができた。

 金木犀木の下にいつまでもいつまでもたたずんでいたいけれど、そうはいかない秋のドラキュラ。惜しまれて、一層、鼻に花を詰めてしまおうかとさえ思ったのだった。
しかし、いつからケーキ屋さんに黄色いモンブランはなくなったのだろう。きんとんを載せたようなあの黄色いモンブラン。



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