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2017年4月30日日曜日

ドラキュラのゴールデンな日



目覚めると、
自宅の前に大きな観光バスが止まっていた。
乗客が皆、手招きしている。
乗客をよく見ると、
笑顔に緩む口元から八重歯が出ている。
そして誰もが黒いマントを着て、
ハットを被っている。
「そうだ、ドラキュラ夜の観光ツアーに申し込んだのだ!」
やばい、まだ顔も作っていない。
夜だって、ライトが点いているから日焼け止めを塗らなければならない。
みんなの顔は完璧な白塗りだ。
ガラス越しにもよく見える。
歯磨き粉のようなチューブに入った日焼け止めを、
慌てて、パジャマに垂らしてしまう。
「ああっ」


近頃、見る夢は悪夢ばかり。
誰のお迎えもなく、
真っ暗になった7時に、用事のために家を出た。
ゴールデンな日にしたいがために、
小洒落たところで食事をしたいけれど、
用事が終わる9時に、
小洒落たお店はクローズだ。
夜9時を回っても、
温かく迎えてくれるのはジョナサンだ。
店内はいつもより人が少なかった。
客席稼働率は、五割弱といった感じだった。
フェアメニューの、徳島産阿波尾鶏の地どり丼を食べた。

いい具合に焼かれた長ネギと、
歯ごたえのある阿波尾鶏がマッチしてとても美味しかった。
普段コレルテロールを気にして、
控えたり、
認知症予防に、
突然食べてみたりする温泉卵だ。
ゴールデンな日だから鶏とご飯にかけて堪能した。
日本を代表するスパイスの七味がついてきたけれど、
陳皮がアレルギーなので、
撮影のみに。
隣の席には、30代前半の静かな男性が二人で向かい合っていた。
二人は、フラッフィースノーアイスとチョコレートパフェを食べていた。
私もチョコレートアイスクリームを食べようと考えていた。
けれど、二人の話が、野球から課長風を吹かせる課長の話に変わり、連休明けの健康診断に及んだ。
ちょっと太めの男性の方がお腹周りを気にしていると言い出した時、向かえの離れた席に、新たな客が腰をかけた。
かなりぽちゃりした若い女だった。
私はアイスクリームを断念して退散した。
ジョナサンのお会計のところに、アポロの富士山があった。
外国人観光客には、喜ばれるお土産であろう。
B-R

さて、ドラキュラ夜の観光ツアーのお土産はどんなものだろう。
星の載ったアイスクリームケーキかな。





2017年4月29日土曜日

ドラキュラが見る風景



やっぱり。
いつもの金曜日と違って、
閑散とした繁華街だった。
ゴールデンウイーク開幕前夜、
9時を回って、
連なる居酒屋の軒先から、
出てきたいくつかのグーループは、
はしご酒の気配なく、
皆、駅へと向かって歩いて行く。
今日からのレジャーの予定が詰まっていて、
家路に急ぐのだろうか。


一方で、これから仕事の人々もいた。
そうだろう、そうだろう。
ゴールデンウィークに忙しいサービス業も
ゴールデンウィークも休めない建設業も、介護サービスも
あるんだから。
この世に太陽がある限り
どこにも行けないなんて、
ひがんではいけないな。


0時を回って、
日本では最長で9連休というゴールデンウィークが始まりました。

2017年4月27日木曜日

心ない復興大臣辞任へ



 除染してもなお、
山から風が吹いてくると
放射線量が上がると
嘆く住人がテレビに映っていた。
その放射線量の値が、基準を上回っても、
自宅の局所であれば再除染がなされないのだと言っていた。
これでは避難している孫達を呼び戻せないと。
こんな実情を知りながら、福島から避難している人々を、
自己責任とした復興大臣がまたもや、
耳を疑う発言をした。
未だ収束しない福島原発事故を起こした東日本大震災が、
「これはまだ東北 で、あっちの方で良かった。これがもっと首都圏あたりだと莫大な、甚大だったと思う。」
一昨日25日自民党二階派のパーティーの講演で、
今村復興大臣はこう述べたのだ。
今村復興大臣の、福島原発事故での「自主避難者は自己責任」発言から、
わずか20日後の発言だった。


2度にわたる発言で、
昨日今村復興相は辞表を提出した。
事実上の更迭だ。
これについて、今村氏の属する派閥の長である二階自民党幹事長は、「一行悪いところがあったら、すぐ首をとれ(と)。なんちゅうことだ。」 とこの件を報道したマスコミを強く批判した。
一行は、
一行でも、
されど一行だ。
人は思っていることが言葉になる。
思ってもいないことは、口から出てこない。
側から見れば、失言でも本人は失言とは思っていないであろう。
事実、一昨日の今村大臣の発言直後に「東北で良かった」という言葉について記者から問いかけられると、
今村復興相は、キョトンとしていた。
首都圏への電力の供給のための福島原発だった。
恩恵を受けていた首都圏の住民。
原発事故の被害にあった福島県の住民、
震災で亡くなった東北の人々、被災した東北の人々。
好き好んで避難生活をしているわけではない。
不自由な仮説住宅での暮らしが6年にも及んでいる。
そんな現実を知りながらの大臣の発言は、
人を思いやる心がない。
原発も国策、復興も国策、その国策を担うトップの実像がこれだ。
福島原発の電力の供給を受けていた横浜で、福島からの避難者の小学生がいじめを受けていたことが明るみになった。
高額な現金を取られ続けて恐喝ともとれる内容だった。
こういった原発事故被害者の避難先での子供の「いじめ」は他県でも報告されている。
国の大臣が、避難を余儀なくされている方々を「自己責任」と言うようでは、避難児童の学校でのいじめも起きようか。
 今村復興相は当選7回のベテラン議員だ。
適材適所と言う以前に、どんな大臣の椅子もふさわしくないであろう。任命責任が追求されるべきだ。



2017年4月26日水曜日

カフェにて



「暑いわね!ここ!」
コーヒーカップの向こう側、
富美子さんが言った。
ちょいクレーマーの私だけれど、
すみません、エアコン強くしていただけませんか!
とお店のスタッフに言わなかった。
ファーのついたダウンジャケットに
ウールの色鮮やかなスカーフに包まれた首が、
私の眼前に迫っている。
そう、それは一昨晩の富美子さんの出で立ちだ。
昔、富美子さんにお部屋を借りていた。
大家さんだ。
メイドインイタリーのパナマ帽にハイヒールで、
とんかつを食べた後のスーパーマーケットで、
富美子さんに偶然出会ったのだ。
夜、偶然会うと、二人でカフェに行く。
時に、富美子さんから呼び出しの電話がかかることもある。
そんなとき私は、尻尾を振って、出かけて行くのだ。
富美子さんのお友達の和歌子さんが一緒のこともある。
富美子さんからお部屋を借りていた8年間は、
私は、すこぶる健康だった。
それでも何かにつけ、富美子さんには本当によく面倒をみていただいた。
インフルエンザで入院した時は、富美子さんと叔母さまが毎日病院に飲み物や下着を持って来てくれたのだ。
そして、私が自称28歳と若輩者だから、私からは意見は言わないように心がけている。
けれど、一昨夜は、
「富美子さん、コートは脱いだらどうかしら。」と言ってみた。
富美子さんはコートの下にウールのセーターも着ていた。


夜空には、紋白蝶のように白い花水木の花が夜風にひらひらと揺れて、
路地には麗しき躑躅(ツツジ)が咲き誇っている。
花屋の店先には紫陽花の鉢植えが並んでいる。
もうそんな季節だ。


今日の東京は、最高気温が20度、最低気温は14度、曇りの予報です。
マフラーも、コートもいらないでしょう。
(登場人物の名前は全て仮名です。)

2017年4月25日火曜日

GWのご予定は?



ゴールデンウィークが迫ってきて、
テレビでは、注目の観光地や穴場のスポット、
旅館やホテルの話題が、ニュース番組でも取り上げられている。
ドラキュラとしては、どうも面白くない。
どこにも行くことができないものだから。


思いついたように、
真珠の指輪を二つはめて、
メイドインイタリーのパナマ帽を被って、
シルクの水玉のワンピースを着て、
ブランド物のバッグを提げて、
ハイヒールを履いて、
真っ暗になるのを待った。


そして、出かけた先は、
近所にあるチェーンのとんかつ屋だ。
久々に、コテコテ食事が食べられて、
嬉しかった。
ゴールデンウイークも、こんな感じだな。
まあ、それで良しだ。
皆様のGWのご予定はいかがですか?

2017年4月24日月曜日

スペインの妖精たち



夜の街しか歩くことができないドラキュラにも、
極たまに、
びっくりするような出会いがある。
サーティーワンのバーガンディーチェリーが食べたくなって、
スーパーマーケットにあるフードコートに出かけた。
まだ咲いているらしい八重桜も目当てだった。
八重桜は見頃の木もあったけれど、
冷たい夜風が、八重桜を揺らしてうまく撮れなかった。
おまけにサーティーワンにバーガンディーチェリーはなかった。
女子大生の時によく食べたものだ。
もはや季節メニューにも無くなったのだろうか。
バーガンディーチェリー以外に用がない日曜の夜の
スーパーマーケットに、
一人でやってきて、
私って何をしているんだろうと、がっくりしていると、
クレープ屋さんの前に、
長い足の美少女達を発見した。
おっおー美しい!
メニューの多さに悩んでいるな。
ふふふっ、いとかわゆい!
妖精がまた一人と、
王子までやってきた。
ついにお支払いにコーチがやってきて、
決断の時となったようだ。
決心したのだろうか、
一人の妖精が長くて細い手をしなやかに天に向かって上げた。
「あっ、」思わず息を飲んだ。


何を注文したかは、
わかりません。


妖精達と一緒にいたいがために、
私は、クレープ屋さんのあまおうのソフトクリームを彼女達の近くで食べた。
どうやらクレープは食後のデザートのようで、
それより前に、ステーキなどを食べていたようだ。
どの店もセルフサービスだけれど、
ステーキ屋のおじいさんがお皿を下げにやってきた。
エプロンをつけたおじいさんは、
「みんな、ビューチフル」と言った。
ビューチフルで意味が通じて、「thank you!」と返ってきていた。
あまおうのアイスクリームを食べ終えて、
今度は、我の出番だ!
こんなラッキーな夜に、そのまま帰るわけにはいかない。
写真を撮ることを許してもらったけれど、ブログのPRがうまく言えなかった。
競技会で日本にやってきた体操選手ということだった。
明日には、日本を発つそうだ。


今日の東京は、
最高気温20度、最低気温11度、晴天の予報です。
皆様におかれましては、ゴールデンウィークまで秒読み体制ですかね。
頑張って参りましょう。





2017年4月22日土曜日

倫理観なき政治家



タレントか?ハリウッドスターか?
と思われるゴシップは、
またもや政治家だった。
しかも政務官だった。
イメージ写真
妻子がありながら、
他の女性とハワイで挙式までしたと報じられた。
この報道に関して、
報じられた本人は、フェイスブックで記事を認め、
「経済産業大臣政務官の辞表を提出いたしました。」と記している。
さらに、別の女性との親密な交際も報じられている。
フェイスブックに書き込むけれど、
未だに表には出て来ないこの政務官について、
関係者は、本人は猛省しているという。


猛省しているという言葉に笑ってしまう。
猛省するような人間が、このようなことはしないだろう。
ひったるんでいる。
台風の被災地 である岩手県岩泉町を視察した際に長靴を持参せずに、同行者におんぶされた政務官がいる。
挙句に、本人主催の政治資金パーティーで「長靴業界はだいぶ儲かったんじゃないか。」と発言した。
復興相に至っては、福島の原発事故での自主避難者に「自己責任」などと言い放った。
国の認識がこのようなことなのかと愕然とした。
地方創生担当相は、訪日外国人の誘致に関して「一番のガンは文化学芸員」と発言した。
いずれの方々も、今も先生でいらっしゃいます。


2017年4月21日金曜日

通院ブルー



真夜中に、
通院の支度をしていて、
涙が溢れて来た。
フィギアスケートの選手が、
競技の前日にスケート靴の手入れをするように、
入念に遮光グッズの点検をしなければならないのだ。
ほんの微かな紫外線でも20秒で皮膚が火傷状態になる、
重度の光線過敏だ。
太陽光の紫外線の強さは、室内の灯の比ではない。
完全遮光の布を貼り付けた手作りのお面の貼り合わせが
甘くなっていないか毎回の通院の前に入念にチェックしなければならない。
微かでも隙間があればそこから太陽光が入り込んで、
皮膚がやられてしまうのだ。
昨晩は、剥がれかけているところが一箇所あった。
それを補修していたら、涙が出て来たのだ。
そして、最も私をブルーにするのは、
全く通気性がない完全遮光の上着を身につけると、
タクシーの中で異常に熱くなり、大量の汗が流れ続けて、
辛いことだ。
背中は、滝のように汗が流れ続ける。
覆った顔は、顎からポタポタと汗が落ちてくる。
franc franc

通院日以外、
日中は外出することはない。
真っ暗になる夜までの時間も長くなって来た昨今だ。
この症状が始まったのは、
ケトプロフェンという薬剤の湿布薬を使用した直後だ。
そもそも喘息のある人への処方は禁止されている湿布薬だけれど、ある病院で処方されたのだ。
昼間外出できなくなってまる9年目を迎える
9年という時が流れて、
病院へと続く街並みも随分と変わったようだけれど、
顔を手作りお面で覆っているので、 浮かぶ景色は昔のままだ。


迎えた恨めしい晴天の朝、
どういうわけか、
どのタクシー会社も「近くに車がありません。」という。
雨でもないのに初めてだった。
車の手配に30分かかった。
太陽が勢い良く上る時間に出発となってしまい、
ブルー、ブルー・・・そしてブルー


2017年4月19日水曜日

無口という病気12



一昨夜から外は春の嵐だった。
内は、先週末から嵐だった。


嵐の後も生き抜いた八重桜が、
多少残っていた。
桜吹雪は、夜には既に一掃されていたけれど、
まだ風が残っていて、
揺れる八重桜がなかなか上手く撮れなかった。
咲き始めたツツジが落ちていたので、
昼間の風の強さが伺えた。
内の嵐、
爆発したのはあんこではなく、
無口という病気の良人だった。
爆発しても、言葉はない。
なぜなら、良人は無口という病気だから。


良人は、さながら家に近づく人々を威嚇する門前に座る猛犬のような状態になってしまったのだ。
近づくと、
「うーっ」と唸るのだ。
形相もまさに猛犬そのものだった。
「夕飯は、外食か?崎陽軒のお弁当か?それともおうちご飯にするか? 」と尋ねても、
噛み付かれそうだった。
トイレに行く時には、羽根布団を蹴るという暴挙だ。
言葉は全くないけれど、狭い家の空気が一気に重くなった。
無口という病気の良人には、特効薬がある。
それはとびきり美味しい食事だ。
ところが、それが上手く運ばない。
土曜日の晩、良人が大好きなイタリアンのお店に、
買い物をしてから電話をすると既に店じまいだ。
陽が伸びて、ほんの少々の買い物でも7時半を回ってしまうのだ。
その電話の様子を察した良人はますます荒れた。
外も嵐で、私は、カフェで気を紛らわすこともできずに、
上向いて来た体調がまた悪くなりそうだった。
クロネコヤマトに、この猛犬を引き取りに来てもらい、ママのところに送り返してもらいたいと心底思った。
食事の後、猛犬が撮影

良人は無口という病気だから、
理由は語らず、
推測するしかない。
一つには、先週の通勤時の度重なる電車の遅延からの疲労だ。
通勤時間が昨年から片道二時間近くになった良人は、乗り換えも多く、各鉄道で遅延が生じると相当な通勤時間になり疲労が募ったに違いない。
もう一つは、私の体調が1ヶ月以上も悪かったことだ。
これによる心労ということではないだろうか。
これには、大いに思い当たる。
先週体調が上向いて来た時に、良人が少しばかり言葉を発した。
「また入院になるかと思った。」
「メール攻撃が毎日になるかと思うと憂鬱だった。」
メール攻撃というのは、過去の長きに及んだ私の入院で、
「パンツ持って来い!」「パンツ取りに来い!」という私が良人に当てたメールのことだ。
これについては、配偶者が健康ならば、背負わなくてもすむ『苦労』であることは間違いないのだ。
そういう意味では、猛犬は逃げ出しもせずに、番兵をしていると言えようか。
昨日も会社を休んだ良人の慰労とご機嫌取りのために、
良人のお気に入りのイタリアンのお店で食事をした。
真っ暗になって、速攻でお店に電話を入れたのだ。
良人はトリッパ、ボッタルガとキャベツのパスタ、イベリコ豚のソテー、ケーキとアイスクリームをぺろりと平らげていた。
私は、前菜盛り合わせとニョッキを食べた。
美味しかったけれど、楽しめなかった。
路地に咲くいろいろな花が慰めてくれた。


地下のスナックからは、
カラオケで昭和の歌謡曲を気持ち良く歌う男性の声が響いて来ました。
以前、メロンについていた日本一というシールを良人の背中に貼って、会社に送り出したことがあります。
猛犬注意というシールを背中に貼った人を今日電車内で見かけたら、それは良人です。



2017年4月17日月曜日

カフェに復帰



月曜日を迎えました。
皆様におかれましては、
挨拶回りも一段落して、本格的に新年度のスタートかと存じます。
私も、おかげさまで昨夜、いつものカフェに復帰しました。
カウンターで応対してくれたのは、初めて見るスタッフでした。
落ち着いていたので、新人スタッフなのか新店長なのかわかりませんでした。
思いがけず、指定席が空いていて、
隣には空色のスカーフをふわっと首に巻いたおばさんがいました。
けれどおばさんは、ずるっと椅子に腰をかけて、座高がわかりません。お箸からうどんが滑り落ちそうな感じです。
お疲れなのでしょう。
トイレの近くには、デニムのジェケットを着たお姉さんが、
マスクをかけて、壁に寄りかかって、目を閉じて座っていました。
春はみんな疲れるものなのですね。
でもゴールデンウィークが直ぐそこです。
そこまで、なんとかやってまいりましょう。
今日の東京の最高気温は23度、最低気温は13度、晴れのち一時雨の予報です。
傘をお忘れなくどうぞ。