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2016年2月14日日曜日

無口という病気6

立春天丼

体重がまた減っていたので、
迷わず、立春天丼セットというのにした。
昨夜、背中にカイロを貼り付けて、温かタイツにデニム、ダウンコートを着込んで出陣したら、かちかち山だった。
東京の気温は日中、21.8度にも昇ったそうだ。
良人も同じものを食した。
良人は、無口という病気なので、当たり前のように、注文はしない。
良人は、メニューを指すだけ。
私が二人分を声にして注文する。


食事中も当然ながら、会話は無い。
仕方なく一方的にしゃべるしかない私は、はたから見れば独り言状態だ。
二者択一を迫られていた問題で、最初から二者はなかったようだという事を、空気に向かって喋っていた。
この時、携帯メールの着信音が鳴った。
メールを見ると、
向かい合う良人からだ。
『死ね』
良人を見ると、良人は既に食べ終えていた。
2者のどちらも、結局は、大して変わらない。
人間は、いつか必ず死ぬのだからと言う事だろうか。


そんな事を言ったら、どのような問題もそういう事だ。
だからか良人の返事や返信メールは「死ね」しかないと言えるほどだ。
しかし、そんな深い意味もなく、食べ終わったから早く帰りたいだけかもしれない。
メールで問うても、返信はなし。
家族亭のこの立春天丼は、予想以上に美味しかった。
菜の花の天ぷら、新玉ねぎと桜海老のかき揚げ、海老、かぼちゃ、にんじんの天ぷらだった。
甘辛だし汁は、あんみつの黒蜜のように、別の器の中だ。
おうどんの澄んだだし汁は、鰹が効いた好みの味だ。
お餅には、光線過敏の症状を重くする蕎麦の実とゆず味噌がバッチリかかっていて食せず、無口な良人の腹に納められた。

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