予約客でいっぱいだという食事処には、出直して9時に入店した。
案内された席の隣はつい立て越しに宴会だった。
宴もたけなわ、たいそうお賑やかで、楽しそうにはじけて、ついにどんちゃん騒ぎだ。
『いけいけ!やれやれ!』参加したいぐらいだ。
ほどなくお店の方が、謝りに来た。
「賑やかで申し訳ありません。」
「いいえ、いいえ、どういたしまして。」
お腹に少し溜まると、隣の声がよく拾えるようになってしまった。互いに先生と呼び合っている。
「ジャーン、山辺先生の車は来月からジャガーに変わりまーす!」
「皆さん、駐車場に見に行ってくださーい。」
そのうち、学会の鞄持ちの話、ビジネスクラスの機内の話、伊藤先生達のゴージャスな結婚式の話と話題は尽きない。やがて女性の「結婚してー」とわめき声。
「このまま天涯孤独はやだー」
「どんな人がいいんだ?」
「DV(ドメスティックバイオレンス)さえなければ誰でもいいー」
「ハードル低くねぇ?」
「DVさえなければいいの!」
「このまま独りだったら誰か看取ってくれよー」
「死亡診断書は書いてやるよ。」
「私は、目の大きな可愛い子供が欲しいから、スエーデン人と結婚したい!」
「スエーデン人は目が大きいかぁ?」
「目というかさぁ、端正な顔している感じするからー。私、目ちっちゃいからさぁ。」「浮気されてもいいのよ〜」
『ここで耳にしたことは、しばらくは仕舞っておきますよ。』(登場人物の名前はすべて仮名です。)
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