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2013年1月3日木曜日

お江戸の春

東京駅は、北に向かう人達でごった返していた。夜6時だと言うのに。
耐えかねて、家を飛び出したのだった。じっとしていた方が身体のためには良いとは、わかっちゃいるけどいられない。日の入りは既に延びていて5時半近くのスタートで、おしまいは、9時。
 日本橋の百貨店のディスプレイには新春らしい、あでやかで品格のある見事な振り袖が飾られていた。『ああ、今にも袖をとおして着たい!』と思ったのだった。

7時でクローズなので、そのまま近くのビルで赤いセーターを試着した。ほぼ予定どおりの行動だった。赤いセーターを着ると、まるで中華街の同○の店先につるされた焼豚のようになった。優しい店員さんのほめ言葉には乗りようがない。下調べが甘く、ビルのクローズが9時、店は8時クローズだった。焼豚のごとき私は、ヤケになり、Jean Paulなんとかというブランドのサキューラスカートの濃紺のワンピースを買ってしまった。お安くなっていたとは言っても、春物で、ほうきにまたがると魔法使いのようだ。しかも、ファスナーがなく、着脱に難ありだ。試着室で格闘中、このまま春まで着ているしかないかと真剣に思った。お金を払えば、それは許されるだろうと。気をとり直して、なんとかワンピースを身体からむしり取ったら、私自身がよれよれになった。
 帰途、座ることができた電車内は蛍光灯が荷物棚にうまく隠れていたので、いろいろな事を考えることができた。 向かいの席に「おばさん」が座ってきて、思わずニヤリ。ここにもまた、振り袖が遙か昔の人がいる!本人は「おばさん」と自覚していない格好にそぶりだ。それはまるで鏡を見ているようでもあった。私の口もとはマスクで隠れていて、ニヤリは「おばさん」には知られない。
 10年前は、歳を4つ鯖を読んでいた。5年前からは、10歳ほど鯖を読むようになった。今年は、いくつ鯖を読もうか、読むべきか。いや、読まなければならないのか。もう10歳では、どうにも間に合わない。15歳は、計算がやや面倒だ。「えーと」とつい言ってしまいそうだ。20歳だな。今年から。

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