朝から深いため息が絶え間ない、となりの患者。10分と空けず次のため息が聞こえてくる。ベッド周りのカーテンは常にぴったりと閉まっているので、ベッドに座ってため息をついているのか、横になったままそうしているのかは、わからない。昼間一時だけため息が聞こえない時がある。どこかにふらっとタバコを吸いに行っているようだ。そんなとなりの患者は、40歳に届くかとどかないかという年格好で憂いのある色白の綺麗なヒト。演歌の歌詞に唱われているヒロインのような、場末のスナックでカウンターのテーブルを拭いてそうなそんなヒトだ。来る日も、くる日もため息は止まらない。
0 件のコメント:
コメントを投稿