井上君、また「忘れちゃった」なのかい?忘れちゃったは、これで2回目。今回は専門外の検査方法のことだから仕方ないけれど。前回は、専門の分野で、「教科書に書いてあったけど忘れちゃった」だったね。
『忘れちゃった』はなかなか言えない言葉。私だったら、取り繕って、たとえデタラメでも最もらしく理屈を言ったりするだろう。
以前教授に、2つの薬のうち1つの選択を迫られた。日頃も優柔不断な私は決めかねて、「効果が同じでも、臓器へのその働きかけに違いはあるのか?」と聞いた。答えはイエス。説明までに少し間があって、極めて早口で、熱くその相違について語ってくれた。後でその説明は違っていたことがわかった。さすがにデタラメではなかったが、その2つの薬の本来的な効果である血圧を降下させるためのメカニズムの説明であって、臓器への働きかけはそれとは違っていたのである。
井上君が、組織に流されているようで流されていない一面を見たこともあった。それは、私が、教授が服用せよといった薬の量を守らなかった時のこと。私は、教授回診で教授にこっぴどく怒られた。研修医もまた怒られたが、それは研修医の指導医である井上君が怒られたも同じこと。しかし、その後も井上君は薬の量を強制しなかった。そして、一言「許してしまう私が本当にあんこさんのためになるのかと・・・」なんと正直な人間なんだろうと思った。
決して見栄をはらない、おおらかに構えている井上君にはいつも勉強させられる。だから、喝と言いたいところだけど・・・今回はよしておこう(記載された名前は仮名です)
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