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2008年1月9日水曜日

とんだボランティア

 病院の入口を入ると、数メートルのところに再診機が6台設置されている。再診の時は、カードをその再診機に差し込み、受診票を受け取らなければならない。入口と再診機の間の脇には、いつもボランティアが2人立っている。
 杖の私は片手で、バッグからカードを取り出し、再診機に差し込まなければならない。いつも難儀だ。せめてカードを再診機に差し込むだけでもボランティアがやってくれたらなぁと、恨めしそうに2人のボランティアを見ても、2人は全く気が付かない。黄色いエプロンを付けた2人は、決まっていつもぺちゃくちゃとおしゃべりをしている。2人は、40代後半から50代前半といった歳格好のいわゆるおばちゃんだ。時には盛り上がって、身体が左右に揺れて、笑って、はしゃいでいる。観客のウケを全く気にしない、開き直った漫才コンビのようだ。そばにいる総合案内の師長も加わってトリオになったりもする。
 別棟の入口にも再診機があって、そこに近い診療科の時は、そちらを利用する。そちらの棟では、再診機を曲がって少し行ったところの観葉植物の陰にボランティアが1人立っている。
患者が利用するエレベーターの正面だが、エレベーターからも離れている。だいたい普通に歩いていたら患者からは全く見えない、いわば死角といって良い場所がそのボランティアの立ち位置だ。若い青年で、これまたいつも昔の漫才師のようにモミ手で立っている。
 しかし、ある雨の日、別棟の入口を入ったところで、中年の女性が走りよってきた。その女性は私の傘をたたみ、ビニールに入れると、バッグの脇に差し込んでくれた。私は初めて受けたサービスに、仰天し、頭が真っ白になってしまった。エプロンを付けていたのでボランティアだっだのだと思う。たぶん。
 何年も通う病院でそんなサービスを受けたのはそれっきりだ。立っているだけのボランティアなら、カーネルサンダースのお爺さんやウルトラセブンの像を死角じゃないところに置いてくれたら、心が癒されたり楽しかったりするのになぁといつも思う。

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