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2008年5月8日木曜日

地獄絵図5

 談話室に着くと、ボスと手下が窓側の椅子に座っている。2人は私よりずっと早くに部屋を出て行っていた。近づくとボスが振り向いて「いいこと教えてやろうか」という。あの部屋には一日4回爆弾が落ちるんだよ。」とボス。私は直ぐにうんこのことだと思った。「うんこの事でしょ」と私が言うとボスは、意味深にニヤリと笑い、説明してやれとばかりに手下を見やる。手下は、テレビドラマ『家政婦は見た』に出てくる家政婦紹介所の会長さんにそっくりだ。「それがね、違うのよ。おしっこなの」と手下。私には、もはや悪臭の正体がうんこであろうが、おしっこであろうが関係なく、ただ耐え難く、ひたすらに苦々しい思いで一杯いっぱいになっていた。しかし、つい「どうして?うんこ以上の匂いじゃない」と言葉が出てしまった。
 2人はこれまでに相当思案したのか、手下は「ウチラと全く同じ物を食べているのに不思議なのよ。4回きりのおしっこだから濃くなってああゆう匂いになるのか」
 正体がおしっこだという事には思い当たることがあった。ある時、問題の物の始末にやってきた、ふて腐れ看護師が、「うんこしちゃったの?」と何回も怒鳴っていたことがあった。それは、おしっこ用の器をベッドと身体の間に入れたのに、事が済んで、おしっこの始末にきたところが、うんこ臭なのでうんこをしてしまったのかということだったのだ。当然だ。私とて手下の話を聞くまではうんこ以上にうんこなモノだと思っていたのだから。
 真相を聞いても、病人に対する思いやりとかいたわりの気持ちは全く起きず、恨みはすでに大きなこちこちの塊になっていた。爆弾は毎日、朝食前に1回、昼食前に1回、3時頃か夕食前に1回、就眠前に1回。確かに一日4回投下されていた。

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