人生を振り返るように、冬の帽子を数えてみた。
ざっと20個。
バブリーな時代のものは、クラシカルなデザインで値段も高かった。10年ぐらい前からカジュアルなものが主流になって、私も倣ってウールの布やフエルトでもつばが切りっぱなしのものを被るようになった。
ユニクロの服に英国貴婦人の帽子というわけにはいかないのだ。
昨年、歩けるようになって百貨店で4つ目の帽子の箱を買った。その時、昔の帽子は捨てようかと思うが、思い切れないと店員さんに言うと、「帽子は捨てない方がいいいですよ。また流行が巡ってきますから。」と言われた。
確かに、今年はまたクラシカルな感じになってきた。昔の帽子のいくつかは被れそうな感じだ。洋服の流行は、大きなトレンドは巡ってくるけれど、ディーテイルが違って、再び昔の服が着られるということはない。
帽子は、大抵無地だし、色もクロ、茶、ベージュ、白、えんじ、紺程度だ。ディーテイルと言っても、つばと頭の形、リボンに変化をつけようにも知れたものだ。
しかし、これらの帽子もみんな夜のお出かけのお供だ。夜、白熱灯の光は防いでくれる。日のあるうちは、外出できないわけで、通院の時は、特別な完全遮光布の虚無僧の被るような、広いつばであたりが見えない特別な帽子だ。つくづく、帽子には縁が深いのかも知れないと言えば、気持ちが納まる?いや治まらない。夜だけしか歩けないのだから、お供の大事な帽子が色褪せないでいいと思えば気持ちが収まる?いや治まりゃしない。
クラシカルな帽子を普通に昼間被って歩いていたのは、遠い昔のこと。