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2008年12月23日火曜日

太郎ちゃんごめんちゃい

「たらたら飲んで、食べて、何もしない人(患者)の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」
太郎ちゃん、私は好きで病気になったんじゃないのよ。
原因もわからない、治療法もない・・・・と病気の本質的なことをここで綴れば、とりとめもなく落ち込むから

漢字にルビを振ることは、誰かがやってくれるだろう。
病苦については、誰が教えることができるだろうか?
太郎の屋根に雪ふりつむ 次郎の屋根に雪ふりつむ

渋谷の太郎の豪邸の屋根にはいつも虹だから、わからないのね太郎ちゃん

達治の詩は、「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ 次郎を眠らせ・・・」だ。
「眠らせ」ないまでも「太郎を黙らせ」る何かが天から降ってこないものか。

2008年12月19日金曜日

井上君、井上君

 個室の空き待ちで数日間は地獄部屋のままだった。その間、耳を疑うような事実が明らかになった。朝、ドクター井上がうんこ以上にうんこな臭いのおしっこババのところにやってきた。井上君にしては珍しく慌てているように見えた。耳の遠いババに向かって大声で井上君はこう言った。「あのね。おっしっこに菌がいっぱいいるから、その菌を殺すお薬を出しますから飲んでください」
 井上君のその言葉に、すぐさまおしっこの悪臭の原因はそれだと思った私は、怒りで爆発しそうになった。この世の臭いとは思えないそれに、どれだけの人がどれだけ苦しんだことか。井上君は尿中の細菌が2+ぐらいは平気でスルーだ。故意なのか、ザル眼なのかわからないが、膀胱が痛いとか訴えないかぎりは何も言わない。その井上君が慌ててやってきたということは細菌が3+か、4+か。4+ってどんなんだぁ?どんなってこんな強烈なうんこ臭になるということかぁ・・・
 一体どれだけの間、細菌を放置したのだろうか?私が6人部屋に来る前から、すでにボス達に爆弾と呼ばれていた(地獄絵図5)。ボスは、ヘリで病院に運ばれてくるほど重体だったそうだから、2ヶ月はいたであろう。そしてボスが退院して2週間は過ぎたろうか?ババには、2ヶ月近く細菌がウヨウヨだったのかもしれない。
 口達者なババは「私の膀胱は大丈夫なんですか?」「どうりで私のおしっこは甘い臭いがするなぁと思ってました」と井上君に言っていた。
 甘いに・お・い???誰でも自分はかわいいものだ。ババは、わざわざ師長を呼び出して、年増の看護学生を大変良い学生だと言ったりしているぐらいの口達者なのだから、おしっこの臭いがおかしいと何故これまで言わなかったのか?マスクをかけて尿の始末にくる看護師達は、どうして医師に伝えなかったのか?そして、井上君、井上君、これまでの採尿検査はどうしていたんだ?ここは整形病棟でもない、消化器病棟でもない、血液から老廃物や余分な水分を排泄する機能を担う臓器の病棟だ。
 ピーピーうんこババの主治医は井上君だ。うんこ臭しっこババの主治医も井上君だったのだ。
 そして、私も井上君。(登場人物の名前は仮称です)

2008年12月16日火曜日

弱肉強食

娑婆も病室もこの世は弱肉強食だ。食うか食われるか。
うんこ以上にうんこな臭いのおしっこババの50になる金髪の息子はボルボに乗っているという。
私は車など持っていない。たぶん一生持てないであろう。
そんな私が何故個室に行かなければならないのか。
しかし、「病室の皆みな様にご迷惑をおかけしますので、わたくしが個室に移ります」などど殊勝なことを言う者などいない。
耐えられない奴が降参して出て行くしかないのだ。