しかし、ぐーたらナースに今度などない。
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2008年5月24日土曜日
2008年5月19日月曜日
地獄絵図7
となりのばあさんには、悩ましい事がもう一つある。それは大声での自らの半生の語りだ。当初は見舞客相手に語っているのだと思っていたが、連日の大声に身体を起こして見ると、聞き役は、50歳を過ぎているであろう年増の看護学生だった。看護学生が実習として話し相手になっているのだ。耳が遠いばあさんは、耳がつんざけるほどの大声で語り、聞き手の年増の学生もまた素っ頓狂な大声で「ハイー、ハイー」と民謡で合いの手を入れるように相づちを打つ。
話は長い時は3時間に及ぶ。よくもあんなにしゃべっていられる体力があるものだ。『亡くなった夫は、長谷川一夫のようにいい男だった。』『1人息子は50を超えているが子供の頃からできが悪かった』から始まる亡き夫、息子にまつわる苦労話は連日ブレがないが、事自分のことになると、ある日は、『下宿屋のおかみ』として下宿屋家業のおもしろさ、下宿人の様々な人間模様を語ったかと思うと、明くる日は『団地に住む主婦』だったという。
年増の看護学生は整合性のないところに突っ込みは決して入れない。ただ返事だけして今日の夕飯のおかずでも考えているのだろう。
2008年5月14日水曜日
2008年5月9日金曜日
おもしろナース4
個室病棟の鶴子ちゃんには困ったものだ。朝一番でドアをノックして入ってくるなり、ひどい咳を「ウッホ、ウッホ」としている。当然のようにマスクはかけていない。お決まりのポーズ(「おもしろナース3」)はどうか省略してくれ!と思った。風邪は命とりだと言われているのに・・・・私は、急いで布団で顔を覆った。
次に思いもよらないことが起こった。それは検温の間、鶴子ちゃんは「ちょいと失礼」と言ったかと思うと、枕元にある私のティッシュ箱から、『シュッシュ、シュッシュ』とティッシュパーパーをひっぱり出した。それはまるで、手品師が旗をひっぱり出すように軽快だった。そして、鶴子ちゃんは、私の頭の上で「ちーん、ちーん」と豪快に鼻をかんで、検温結果を記録して部屋を出ていった。
だれか、このナース2年目の鶴子ちゃんを正しく導いてくれ!
個室には看護業務監視カメラを!
2008年5月8日木曜日
地獄絵図5
談話室に着くと、ボスと手下が窓側の椅子に座っている。2人は私よりずっと早くに部屋を出て行っていた。近づくとボスが振り向いて「いいこと教えてやろうか」という。あの部屋には一日4回爆弾が落ちるんだよ。」とボス。私は直ぐにうんこのことだと思った。「うんこの事でしょ」と私が言うとボスは、意味深にニヤリと笑い、説明してやれとばかりに手下を見やる。手下は、テレビドラマ『家政婦は見た』に出てくる家政婦紹介所の会長さんにそっくりだ。「それがね、違うのよ。おしっこなの」と手下。私には、もはや悪臭の正体がうんこであろうが、おしっこであろうが関係なく、ただ耐え難く、ひたすらに苦々しい思いで一杯いっぱいになっていた。しかし、つい「どうして?うんこ以上の匂いじゃない」と言葉が出てしまった。
2人はこれまでに相当思案したのか、手下は「ウチラと全く同じ物を食べているのに不思議なのよ。4回きりのおしっこだから濃くなってああゆう匂いになるのか」
正体がおしっこだという事には思い当たることがあった。ある時、問題の物の始末にやってきた、ふて腐れ看護師が、「うんこしちゃったの?」と何回も怒鳴っていたことがあった。それは、おしっこ用の器をベッドと身体の間に入れたのに、事が済んで、おしっこの始末にきたところが、うんこ臭なのでうんこをしてしまったのかということだったのだ。当然だ。私とて手下の話を聞くまではうんこ以上にうんこなモノだと思っていたのだから。
真相を聞いても、病人に対する思いやりとかいたわりの気持ちは全く起きず、恨みはすでに大きなこちこちの塊になっていた。爆弾は毎日、朝食前に1回、昼食前に1回、3時頃か夕食前に1回、就眠前に1回。確かに一日4回投下されていた。
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